1)上強膜炎・強膜炎とは |
眼球はほぼ球状をしていますが、その構造を保っている眼球の壁のうち、前方5分の1は角膜(「くろめ」に相当します)で後方5分の4を強膜と呼びます。強膜は弾力のある白色のコラーゲン組織からできており、外から見た場合の「しろめ」の部分に相当します。強膜の表面は結膜という薄い透明な膜で覆われていますので、強膜が表面に露出しているわけではありません。よく「しろめが充血した」という症状で受診される方がおみえになりますが、その場合、表面の結膜の炎症(結膜炎)なのか強膜炎なのか鑑別する必要があります(そのほかにも結膜下出血や瞼裂斑炎なども鑑別が必要です)。強膜の表層の炎症を上強膜炎と呼び、中深層にも炎症がある場合を強膜炎と呼びます。 |
2)症状 |
上強膜炎・強膜炎ともに「しろめの充血」が特徴的です。上強膜炎の場合は痛みは軽度ですが、強膜炎の場合は痛みを訴えられることもあります。強膜炎では炎症が眼球後方まで及んで視力に影響を及ぼす場合や、強膜が溶けて薄くなってしまう(壊死性強膜炎)場合もあるので注意深い経過観察が必要です。上強膜炎・強膜炎では炎症による刺激のため涙は出ますが、目ヤニはあまり多くなく、結膜炎との鑑別点のひとつになります。また結膜炎ではまぶたの裏側(眼瞼結膜)も充血しますが、上強膜炎・強膜炎では眼瞼結膜の充血は目立ちません。 |
3)原因 |
上強膜炎・強膜炎は、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病、糖尿病、ヘルペスや梅毒などの感染症が関与する場合がありますが、原因がわからないことも多い疾患です。何度も繰り返すようなら血液検査をして上記のような疾患の有無を確認する必要があります。 |
4)治療 |
上強膜炎はステロイド薬点眼で改善することが大半です。一方、強膜炎はステロイド点眼に加えて非ステロイド性抗炎症薬内服が必要になったり、重症の場合にはステロイド薬の内服・点滴が必要になる場合もあります。 |
2019年8月1日掲載 |
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