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黄斑低形成とは

 ヒトの眼の網膜の中心には黄斑という場所があります。黄斑部は視細胞のなかでも錐体細胞が集積している場所で、微細な視力と色覚を担っています。形態的には網膜が少し凹んで薄くなっています(図2-C)。眼底写真では、黄斑部特有の暗紅色斑と輪状反射として認められます(図1-C)。
 黄斑低形成とは胎生期に何らかの原因で黄斑が正常に形成されなかった状態です。そのため網膜の中心に暗紅色斑と輪状反射がなく(図1-A,B)、陥凹も認められません(図2-A,B)。ほとんどが両眼性で、幼少期から視力障害があり、視力は0.1から0.3程度が多いとされています。しばしば固視不良のため眼振(目が左右に揺れる状態)を伴います。

図1-A 図1-B 図1-C

図1: 眼底写真(A,B:黄斑低形成、C:正常)
 黄斑低形成では右眼(A)、左眼(B)ともに正常眼底(C)にみられる輪状反射と中心部の暗紅色斑が認められない。
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図2-A 図2-B 図2-C

図2: OCT画像(A,B:黄斑低形成、C:正常)
 黄斑低形成では右眼(A)、左眼(B)ともに正常眼底(C)に診られる網膜中央部の凹み(中心窩)が認められない。
図2の大きな画像をご覧になるにはココをクリック! 
 先天的な疾患ですので、残念ながら根本的な治療法はありません。ただ、遠視・乱視などの屈折異常があれば屈折矯正を行い、斜視があれば斜視手術なども検討し、残っている視機能を最大限発揮できるようにします。
参考文献
早川むつ子:黄斑低形成. 眼科診療プラクティス27.小児視力障害の診療.129-131.1997. 
2020年3月1日掲載 
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