麦粒腫とは |
麦粒腫は眼瞼に細菌が感染して生じる化膿性の炎症です。
地域により呼び方が異なり「ものもらい」「めばちこ」「めんぼ」などと呼ばれています。睫毛の根元にある汗腺(モル線)や脂腺(ツァイス腺)が感染した場合を外麦粒腫、瞼板腺(マイボーム腺)に生じた場合を内麦粒腫と呼びます。 |
【麦粒腫のイメージ図】
上眼瞼は外麦粒腫、下眼瞼は内麦粒腫のイメージを示す。外麦粒腫は皮膚側へ腫れるが内麦粒腫は結膜側へ腫れる事が多い。図の下眼瞼麦粒腫中央に示された白い点は膿点で、注射針で穿刺すると排膿できることが多い。 |
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【眼瞼の模式図】
眼瞼には皮膚、眼輪筋、眼瞼挙筋、脂肪細胞、瞼板、結膜、睫毛などが存在し、複雑な構造になっている。瞼縁の分泌線だけでも、ツァイス腺、モル線、マイボーム(瞼板)腺が並んでいる。ツァイス腺もしくはモル線に生じる化膿性炎症が外麦粒腫、マイボーム腺に生じる化膿性炎症が内麦粒腫である。 |
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麦粒腫の症状 |
基本的な症状は眼瞼の「限局的」な発赤、腫脹、疼痛です。
初期には痒みや、瞬きをすると少し違和感がある程度ですが、徐々に炎症が強くなりメヤニとともに眼瞼の限局的な発赤、腫脹、疼痛が出現してきます。眼瞼の裏側の結膜にも充血がみられ、炎症の波及により眼球結膜にも浮腫や充血が見られる場合もあります。内麦粒腫のほうが、腫脹や疼痛が強い傾向が見られ、時には瞼全体が赤く腫れて目が半分しか開けられなくなることもあります。
多くの場合、外麦粒腫では眼瞼の皮膚面に、内麦粒腫では眼瞼の内側(結膜面)に膿をもった点(膿点)ができ、それが破れて膿が出てしまうと徐々に治癒していきます。
急性霰粒腫、ヘルペス性眼瞼炎、マイボーム腺梗塞、眼瞼炎などの疾患との鑑別が必要になります。なかでも急性霰粒腫はマイボーム腺に生じる慢性肉芽腫性炎症(霰粒種)に感染を合併したもので、眼瞼の限局的な疼痛、発赤、腫脹が生じます。そのため外見、症状のみでは内麦粒腫との鑑別は困難な場合も多く、切開するまで判別できないこともあります。 |
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麦粒腫の原因 |
麦粒腫は眼瞼の縁や内側に細菌が感染して生じる化膿性の炎症です。
原因菌のほとんどは黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌で、これはどこにでもいる常在菌です。アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎などで目を擦る癖のあるかたや糖尿病、血液疾患など抵抗力の低下しているかたでは、細菌感染が生じて麦粒腫や結膜炎に罹りやすくなります。 |
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麦粒腫の対処法 |
初期のうちは、患部を清潔に保って様子を見てもよいでしょう。患部を冷やすと炎症が治まり痛みが楽になります。麦粒腫はひどくならずに治ってしまう場合や、膿点が自壊して膿が出てしまい自然に治ってしまう場合もあります。強く擦ったり押したりしなければ洗顔や洗髪も可能です。ただし、刺激のある洗顔剤やシャンプーは控えたほうが無難です。コンタクトレンズやアイメイクも治るまで控えましょう。
痛みが強い場合や、眼瞼の腫れが強い場合、メヤニが多い場合は眼科医による治療が必要になります。治療の基本は抗生物質の点眼で、だいたい5日から1週間もすれば治ってきます。炎症が強く眼瞼全体に広がりそうなときには抗生物質の内服薬が必要になります。
眼科に受診された時点で膿が溜まっているのが確認できれば、溜まっているところを切って膿を出します。うまく膿が出てしまえば翌日にはかなり良くなります。ただし、膿点が見えるからといって、自分で搾り出したり切開するのは危険ですので行わないでください。 |
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