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北斗七星で視力検査?

 北斗七星のひしゃくの柄の部分から2つ目の2等星「ミザール」のすぐそぱに、4等星の星「アルコル」があります。アラビアでは、その昔「ミザール」と「アルコル」を使って兵士の視力検査をしていたそうです。「アルコル」が見えれば兵士として徴兵され死亡する場合も多かったので「死兆星」と呼ばれることもあったそうです。日本でも地方によっては「寿命星」などとよばれ、この星が見えなくなると年内に亡くなる、といったような言い伝えがあるようです。
国立天文台 アルコルとミザールの写真
提供:国立天文台

 しかし、実際には「ミザール」と「アルコル」の見かけ上の距離は満月の半分ほどで、角度でいうと12分ほどです(1分は1度の60分の1の角度)。視力1.0の人の分解能は1分に相当するので、視力0.1以上あれば「ミザール」と「アルコル」を見分けることができますので、もし見分けられなければ視力は相当悪いと言うことになりそうです。ただ、現代の都市部の環境では「アルコル」自体を見ることが難しいとは思います。
 さらにミザールを望遠鏡で見ると、2.4等星(ミザールA)と4.0等星(ミザールB)が並んでいるのが見えます。ミザールが連星であることは古くから知られていて、ミザールABはおよそ2万年の周期で回り合っている連星だそうです。
 今年は金環日食や金星の太陽面横断など天体観測の当たり年とされていて、実際に観察された方も多かったのではないでしょうか。日頃パソコンやスマートフォンなどで目を酷使しがちな現代の環境ですが、たまには星空を見て目を休めながら遠い昔に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。
2012年8月1日掲載 
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