2017年5月に手持眼圧計「アイケアPRO」を導入しました
(図1)
。通常、眼圧を測定するには非接触型眼圧計(機械から風が出て角膜の凹み具合から眼圧を測定します)かゴールドマン眼圧計(細隙灯顕微鏡を見ながら眼球に直接専用チップを押し当てて眼圧を測定します)を使用することがほとんどです。
【図1】
ゴールドマン眼圧計は、眼科医の中では眼圧測定のゴールデンスタンダードで信頼性が高い眼圧計ですが、眼球に直接接触するため、角膜の点眼麻酔が必要です。また、患者さんが緊張したり、目がうまく開けられない場合には力が入ってしまって、測定が困難になることもあります。非接触型眼圧計は点眼麻酔も要らず手軽に測定できるのですが、目に当たる風が苦手なかたがみえたり、測定値にばらつきが出やすいという問題があります。また、どちらも座位での測定が必要なためお体の不自由なかたでは測定できないこともあります。
これまでも「トノペン」という手持眼圧計を使用していましたが、点眼麻酔が必要であることと、測定時に目を閉じないようにまぶたを持ち上げる必要があり、測定値の誤差が大きい印象でした。
今回導入した「アイケアPRO」も測定時に直接角膜に接触するのですが、プローブの先端はわずか1.4mmで、ほとんど痛みもないため点眼麻酔は不要です。測定は6回行いますが、一回ごとの角膜への接触はほんの一瞬でまばたきよりも速いため、まぶたを持ち上げる必要はほとんどありません
(図2)
。また、その精度も高く、ゴールドマン眼圧計と高い相関があることが報告されています。
【図2】
「アイケアPRO」により、これまで測定の難しかった、お子さん、斜視のかた、角膜が不整なかた、お体の不自由なかたなどで、広く眼圧測定が可能となります。特に強いアレルギーなどでステロイド点眼が必要なお子さんでは、ステロイドの副作用として眼圧上昇の有無を確認することがとても大切ですので、積極的に活用して安全安心な眼科医療を目指していきたいと思います。
2017年7月1日掲載
図1,2は(株)エムイーテクニカ様よりご提供いただきました。ありがとうございました。
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