視神経炎とは、眼球から脳へ信号を伝える視神経に炎症が起きて視力が低下する病気です。視神経が網膜に接する部分に炎症が生じる場合を視神経乳頭炎、それよりも奥(脳に近いほう)に生じる場合を球後視神経炎と呼んでいます。視神経乳頭炎は眼底検査で視神経乳頭が赤く腫れているのですぐに分かりますが、球後視神経炎は視神経乳頭に異常が見られないため眼底検査では診断できません。 |
視神経が障害されて視力に影響を及ぼす状態を視神経症と呼んでおり、視神経炎はその中の一つです。その他には虚血性視神経症、圧迫性視神経症(腫瘍などにより圧迫された場合)、外傷性視神経症、中毒性視神経症(抗結核薬やシンナーなどによる)、遺伝性視神経症などがあります。球後視神経炎は視神経乳頭炎とともに原因不明の特発性視神経炎に分類されますが、繰り返す場合は多発性硬化症という難病のこともあるので検査が必要です。近年の研究により、抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎という特殊なタイプの視神経炎もあります。 |
球後視神経炎の症状は、急激な視力低下や視野の中心付近が見えなくなる中心暗点で、対光反応の減弱も多くの場合で生じます。また眼球を動かすと目の奥に痛みを伴う場合があります。検査は視力検査、視野検査、中心フリッカー検査、血液検査、CTやMRIなどの画像検査を行います。治療は程度、病態分類などで異なりますが、通常、副腎皮質ステロイドやビタミン薬の点滴が用いられます。 |
今回のかたは20代男性で、2日前から急に左眼が見えなくなり受診されました。矯正視力は右眼(1.2)でしたが左眼(0.09)と極度に低下していました。眼底所見に異常を認めませんでしたが、左眼の中心フリッカー値が低下しており、球後視神経炎の可能性が高いと判断し総合病院へ紹介させていただきました。 |