眼鏡は,近視、遠視、乱視、老視にたいする最もシンプルで安全な矯正手段です。眼鏡は、使用するかたの年齢、生活環境、職業、使用する目的などによって度数が異なってきます。不適切な眼鏡をお掛けになっていると、目の痛み・不快感、肩こり、頭痛、めまいなどを生じることがあります。よく見える眼鏡とご自分の目に合っている眼鏡とは異なります。特に中年期以降のかたでは目の調節力が低下してきていますので、目的をしっかり決めてから眼鏡を選ばれるとよいでしょう。 |
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・乳幼児期の眼鏡について
・小学生の眼鏡について
・高校生以降、30歳代までの眼鏡について
・40歳代・50歳代の眼鏡について
・60歳代以降の眼鏡について
・眼鏡に関するQ&A
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乳幼児期の眼鏡について |
乳幼児期に眼鏡が必要になる場合は、そのほとんどが遠視か不同視(左右で屈折力に隔たりがあるもの)によるものです。遠視や不同視は弱視を招いてしまう場合があります。ヒトの目は生まれつきよく見えるわけではなく、周りの物を見ることにより脳が刺激を受けて視力が発達します。遠視や不同視があるとぼやけた映像しか脳に届かず、脳の機能が発達できないまま成長してしまいます。視機能の発達する時期は生まれてから約8歳までとされており、それまでに視力が1.0以上に発達できなかった状態を弱視といいます。弱視にならないために遠視や不同視の矯正が必要であり、眼鏡を1日中かけていただくことになります。ただ、乳幼児は目の調節力が大きいため、通常の方法では屈折の状態がよくわかりません。そのためアトロピンとかサイプレジンという点眼薬を使用して検査をさせていただきます。
何となく目つきがおかしいとか、写真を撮るといつも片方の目が赤く光って写るという訴えがきっかけとなって異常が判明する場合も少なくありません。お子さんの一生の視力を決める大切な時期です。何か変だと感じたら躊躇せずに眼科を受診してください。 |
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小学生の眼鏡について |
学校の検診で裸眼視力の低下を指摘されたお子さんの大半は近視です。しかし、中には遠視や乱視の場合があります。特に初めて視力低下を指摘された場合は、他の疾患の可能性もありますので、必ず眼科医の検診を受けられることをお勧めします。
この時期には学校の黒板を見える視力が必要で、小学校の低学年では 0.5 以上、高学年では 0.7 以上が必要だと考えています。ただし、黒板と同時にノートを取ったり本を読んだりという近業も頻繁に行いますので、眼鏡の度を若干弱めに処方する場合があります。眼鏡の度は強すぎてもよく見えますが、頭痛が生じたり集中力が低下したりする原因となります。また、突然度の強い眼鏡をかけると歪んで見えたり、ふらついたりすることがありますので、あえて必要量の半分程度の度で眼鏡を処方する場合もあります。
近視の眼鏡は常用する必要はありません。はずして近くを見ても不自由もなく疲労も感じなければ、読書をする時や自宅で勉強する時には外していたほうが楽な場合もあります。かけたり外したりして近視が進行することはほとんどありません。むしろ,格好悪いとか、ご両親が眼鏡をかけさせたくないという理由で低視力のまま過ごしていると、黒板がよく見えずに疲れるとか集中力がないなどという事態を引き起こします。
外見にこだわらず、お子さんに快適な視環境を整えてあげることが保護者として大切なのではないでしょうか。 |
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