円錐角膜とは角膜中心付近の厚みが薄くなり、角膜が前方へ突出する病気で(写真1)、10代に発症することが多い疾患です。自覚的には視力が年々悪くなり、検査をすると近視と乱視が強くなっています。通常は両眼性ですが、進行に左右差があることも多いため、自覚的には片目だけが気になる場合もあります。 |
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写真1:角膜中心やや下方の部分が薄くなって前方へ突出しています。 |
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原因は不明ですが10代の男性に発症することが多く、まれに妊娠期の女性にも生じます。またアトピー性皮膚炎、ダウン症候群などに併発しやすく、家族歴のあるかたもあります。目を擦る癖もリスク要因と言われています。 |
円錐角膜の初期では眼鏡での矯正が可能ですが、中等度以上になると眼鏡では矯正できずハードコンタクトレンズによる矯正が必要となります(写真2)。さらに進行してしまうと角膜移植が必要となる場合もあります。近年角膜クロスリンキングという治療法が開発されました。これは角膜にリボフラビンというお薬を点眼して浸透させながら長波長紫外線を照射することにより、角膜のコラーゲン線維を強化し変形しにくくする治療法です。初期の進行しつつある円錐角膜が治療の対象となります。 |
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写真2:ハードコンタクトレンズ装用状態。涙液が黄緑の蛍光で染色されています。コンタクトレンズ中心やや下方の部分は円錐角膜で角膜が突出しているため、コンタクトレンズと角膜が直接触れており、涙液が圧排されて黄緑の蛍光が丸く抜けて見えます。 |
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10代から20代のかたで、急激に視力が低下して、眼鏡店で測ったら乱視が強くなっていたという場合は要注意です。眼鏡で視力が出るから大丈夫と決めつけず、早めの眼科受診をお勧めいたします。 |
<参考サイト>
難病情報センター:円錐角膜
https://www.nanbyou.or.jp/entry/519
円錐角膜研究会
https://keratoconus.jp/about_kc/index.html |
2024年5月1日掲載 |
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