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学校で色覚検査を希望しましょう

 2003年度に学校保健法が改正され、それまで小学4年生で実施されていた色覚検査が必須でなくなりました。それ以降ほとんどの小学校で色覚検査が実施されず、現在の22〜23歳以下の若者の多くは色覚検査を受けたことがありません。しかし、日本人の色覚異常の割合は、男性の約5%、女性の0.2%であり、女性の約10%は保因者であるといわれています。つまり、ほぼ1クラスにひとりの割合で色覚異常の児童・生徒がいる計算になります。現在、その人たちが成長し、いざ受験や就職という場面で初めて自分の色覚異常を知り、非常に困惑し進路の変更を余儀なくされる事例が少なからず報告されるようになりました。
 そのため学校保健安全法が再度一部改正され、2016年度より「児童生徒等が自身の色覚の特性を知らないまま不利益を受けることのないよう、保健調査に色覚に関する項目を新たに追加するなど、より積極的に保護者等への周知を図る必要があること」とされました。それを受けて日本眼科医会も、「円滑な学校生活のためにも、また進路指導の一環としても、学校は色覚検査の希望調査を行い、児童生徒に自分の色覚を知る機会を与え、眼科専門医による健康相談を受けられる体制を強く望む。」とのコメントを出しています。
仮性同色表:石原表
【仮性同色表:石原表】

 しかし、学校眼科医として私が担当させていただいている小中学校4校において、今年度の色覚検査希望者はひとりもみえませんでした。
 先天色覚異常は病気ではありません。「X染色体」の一部の遺伝子変異により、網膜の錐体細胞の機能が一部低下しているため、多くの場合赤と緑の色が見づらくなっています。現在では色覚の異常ではなく、色の見え方の特性であるという観点から、1型2色覚とか2型3色覚という呼称で呼ばれるようになってきています。
 先天色覚異常は生まれつきのもので残念ながら治すことはできません。しかし自分の色覚特性を知っていれば、進路職業の選択に生かすことができたり、信号の色を間違えるなどの色覚に関するトラブルを避けることができます。特に1型色覚(赤色が見づらい)のかたは、危険を示す場合に多く使用される赤色を見落としやすいという認識を持つことにより、多くのリスクを避けることができるようになります。
 そのための第一歩として是非学校での色覚検査をご希望されるようお願いいたします。
〈参考サイト〉

日本眼科医会「色覚異常といわれたら」
http://www.gankaikai.or.jp/health/50/

愛知県眼科医会「色覚検査を受けましょう(長編)」
https://www.youtube.com/watch?v=g_vZ1R9MwsQ 
2016年7月1日掲載 
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