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先天性色覚特性での見え方について

 2016年度に小中学校での色覚検査が再開されました。当院のある名古屋市でも2017年度から希望者を対象に色覚検査を実施しています。今年度は私が学校眼科医を担当する各校でも10名から40名程度の検査希望者があり、通常とは異なる色覚特性を有するお子さんが何名かおみえになりました。将来の職業選択にも影響するため、早い段階で自身の色覚特性を知っておくことは大切なことだと思います。
 さて、色覚特性とはどのようなものでしょうか。
 網膜の視細胞にはには、明暗を感じる桿体(かんたい)細胞と、色を感じる錐体(すいたい)細胞とがあります。錐体細胞には、赤の光を感じるL-錐体(赤錐体)、緑の光を感じるM-錐体(緑錐体)、青の光を感じるS-錐体(青錐体)があります。その3種類の錐体細胞が適切に機能していると一般的な色の見え方となります。しかし、先天的にいずれかの錐体細胞の機能に欠損や異常があると通常とは異なる色の見え方となり、それを先天性色覚特性と呼んでいます。
 今回は、一般的な3色覚(C型)、赤錐体機能不全の1型2色覚(P型強度)、緑錐体機能不全の2型2色覚(D型強度)の場合に、それぞれどのように見えるかを比較してみました。比較には「色のシュミレータ」というアプリを使用しています。
http://asada.tukusi.ne.jp/cvsimulator/j/
先天性色覚特性での見え方比較写真(色鉛筆)
【図1】色鉛筆を並べて撮影してみました。
 一般色覚(C型)に比べると、P型もD型もずいぶん色の見え方が異なります。特に赤と緑の色が両者とも茶色に見えてほとんど区別ができません。オレンジと黄緑もかなり良く似た色に見えています。全体としてP型とD型はよく似た見え方をしています。ピンクの見え方に少し差があるような印象を受けます。

先天性色覚特性での見え方比較写真(サルビア)
【図2】サルビアを撮影してみました。
 P型とD型ではほとんど花と葉の区別ができません。このように赤と緑を区別するのはかなり難しい状況です。

先天性色覚特性での見え方比較写真(ひまわり)
【図3】ひまわりを撮影してみました。
 P型とD型でも黄色と青はほどんど通常と同じように見えますが、葉の色が枯れたような色になってしまいます。

先天性色覚特性での見え方比較写真(青信号)
【図4-1】

先天性色覚特性での見え方比較写真(赤信号)
【図4-2】
【図4】運転席から見た夜の道路上での見え方です
図4-1は青信号、図4-2は赤信号)。
 P型とD型では、前車のブレーキランプの色が分かりにくく、また信号の色も青か赤か認識しにくい状況です。
 今回は、一般的な3色覚と、L-錐体・M-錐体の機能不全のある2色覚の比較でしたが、先天性色覚特性をお持ちのかたの約6割はその中間の「異常3色覚(P型弱度やD型弱度)」に該当するといわれています。異常3色覚のかたはL-錐体・M-錐体の機能がやや低下していますが、日常生活での支障はほとんどなく、大多数のかたは図2のような赤と緑が混在している場合に支障がある程度だといわれています。

 色覚特性をお持ちのかたでも、早めに自覚して意識することで生活上の支障を改善することが可能です。お子さんの場合は今回ご紹介したアプリなどを使って、具体的な見え方を学校側に伝えることで必要なサポートを受けることもできるでしょう。また、最近では色覚特性を補正する眼鏡レンズも発売されています。
 まずは学校や眼科で色覚検査を受けてみましょう。
2017年11月1日掲載 
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