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ホットアイケア(温罨法)のすすめ

 皆さん、目が疲れた時どうしていますか。疲れ目の目薬を点眼する? まぶたを閉じて目を休める? 目の周りのマッサージをする? 皆さんそれぞれ対処法をお持ちと思います。そんな時にホットアイケア(温罨法)も選択肢のひとつに入れてみませんか。
 疲れ目には、眼鏡が合っていない、老眼が進んだ、白内障・緑内障・斜視などの疾患、ドライアイなど様々な原因があります。2023年2月に日本眼科学会は「マイボーム腺機能不全診療ガイドライン」を発表し、「マイボーム腺機能不全からドライアイが発生し、ドライアイに伴う眼乾燥感、眼疲労感などの自覚症状が現れる」とあります。マイボーム腺とは眼瞼のなかにある分泌腺で、涙液に油分を供給しています。マイボーム腺の出口が詰まったり、マイボーム腺の萎縮や脱落で油分の分泌能力が落ちることをマイボーム腺機能不全と呼びます。涙液の最表面にある油分が少なくなると水分が蒸発してドライアイになりやすくなります。
 同ガイドラインでは、「温罨法をマイボーム腺機能不全への治療として行うことを強く推奨する」としています。目を温めると脂質が溶けてマイボーム腺の詰まりが解消されて涙の蒸発が防げるだけではなく、目の血流が良くなって涙液の分泌増加が期待できます。
 また目を温めることは、パソコンやスマートフォンなど画面を見続けることで緊張した毛様体筋の血流も改善し、緊張をほぐして副交感神経優位となることでリラックスできる効果もあります。
 ホットアイケアの方法は、ホットタオル、使い捨てホットアイマスク、レンジで再加熱可能なアイマスクなどがあります。
 ホットタオルは、水で濡らしたタオルを水が垂れない程度に絞って折りたたみ、レンジで30〜40秒ほど熱くない程度に加熱した後ラップで包み、顔を上に向けて目を閉じた状態でまぶたの上に載せる方法です。冷めてしまうと逆に目を冷やすことになりますので5分程度で外すようにしましょう。また目に押し付けると眼圧が上がる可能性がありますので注意をお願いします。
 レンジで再加熱可能な市販のアイマスクは、便利で就寝時にもおすすめです。オフィスや出先では使い捨てホットアイマスクが手軽で使いやすいと思います。
 ただし、アレルギー結膜炎などで目がかゆい時、'ものもらい'などで目が痛いときは冷やした方がよいので、ホットアイケアはさけてください。また、疲れ目には目の病気が隠れているかもしれません。安易に自己判断せず、まず眼科を受診してみることをおすすめいたします。
日本眼科学会:マイボーム腺機能不全診療ガイドライン
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/MGD.pdf
2023年5月1日掲載 
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