2024年に世界的に権威の高い医学誌のひとつ「ランセット」から認知症発症に関連するリスク因子が発表されました。2020年の報告ではリスク因子が12項目でしたが、今回視力障害と高LDLコレステロール値が追加され、認知症リスク因子は14項目となりました。これらの因子をコントロールすることで認知症発症の45%を予防できる可能性があります。
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認知症発症と関連ある因子(認知症発症に影響する割合) |
♦若年期(0-18歳) 低学歴(5%)
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♦中年期(18-65歳)
難聴(7%)
高LDLコレステロール値(7%) うつ病(3%)
外傷性脳損傷(3%) 運動不足(2%) 糖尿病(2%) 喫煙(2%)
高血圧(2%) 肥満(2%) 過度の飲酒(1%) |
♦高齢期(65歳以上)
社会的孤立(5%) 大気汚染(3%) 視力障害(2%) |
認知症に有効な治療法が確立されていない現在、いかに認知症にならないように生活していくかが大切です。視力障害に関しては白内障予防および手術、緑内障早期発見と治療、加齢黄斑変性症治療、糖尿病網膜症コントロールなどが有効な手段であると考えられます。視力障害が認知症発症に影響する割合は2%と大きくありませんが、喫煙や糖尿病も2%となっていますので、それらと同等の影響がある重要な因子と考えても良いと思います。
目が見にくくなったなと思ったら早めに眼科医にご相談ください。 |
2025年2月1日掲載 |
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参考文献
Dementia
prevention, inntervention, and care; 2024
report of the Lancet standing Commission.
Lancet,572-628,2024
視覚障害は「認知症の」リスクファクター 〜ランセット認知症予防委員会が正式に認定〜.
吉田悠人ら;日本の眼科,1646-1647,2024 |
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